家の近くの歩道は、段差はないけれど、道路側が高く、住宅側が低く、つまり斜めになっている。この傾斜を歩くと、電動車イスに乗って、小田原から横浜まで活動に来ていた友を思い出す。

傾斜を電動の車イスで通行するのは、すごく難しい。

一緒にそばを歩いていた時に、傾斜に逆らうように上手に動かしていたけれど、「とっても怖いのよ」と言っていた。低い方へ流されてしまうのだから、道路側が低かったらそれこそ危ない。駅のホームもしかりである。ホームの中心が高く、両側に低くなった、いわゆるかまぼこのような形をしたホームを通るのも、彼女はとても神経を使っていた。そばにいる時は電動の車イスに手を添えることはできるが、一人で移動の時は危険が多すぎる。

段差がなければよい、という問題ではなく、やはり当事者の目線が第一だと思う。
 

私は彼女から多くのことを学んだ。明るく前向きな彼女が私は好きだ。最近彼女とも会っていないな。電話でもしてみよう。キンモクセイの香りに包まれながらそんなことを思った。